労働者が仕事が原因で(業務上)ケガをしたり病気になった場合には、治療費や休業補償を会社が支払わなければならない。たとえ会社に過失がなくてもだ。でも、会社にまかせっぱなしにしてたんじゃアテにならないよね。そこで「労災保険」という制度を設けて、会社に代わって補償しようというのだ。ひとりでも労働者を雇っている会社は強制加入の義務がある。
労働災害が発生したら労働基準監督署に保険の支給手続きをとる。本来なら会社がやってくれるものなんだけど、個人でもOK。万が一、会社が労災に加入していなくても保険の請求はできる。強制加入が原則だからだ。支給されるのは、医療費は全額、休んだ分の給料については平均賃金の80%。そのほか、障害補償や遺族補償、葬祭料(トホホ)などがある。
ここまでわかったかな?でも、請求したからといってすべてに保険が支給されるわけではないんだ。それが仕事が原因によるケガや病気なのかを調査して、労働災害だと認められなければならない。メンドくせえなあ。たとえば、作業中のケガについては労災であることが一目瞭然だけど、腰痛などは、仕事が原因なのかどうかわからないもんね。それから、職業病など、長い時間をかけてじわじわとむしばまれていたケースなども、それが労災なのかどうかの判断が難しい。
これらについては、労働基準法で定めている。
ところで、通勤途中の事故についても、労災の適用が認められているって知ってた?これは通勤災害として保険が適用されるのだ。ただし、通勤途中に寄り道していて事故に遭った場合で、その寄り道が普段の経路からはずれていると保険が適用されない。そりゃそうだよね。
さて、労働災害の最も重大なものが過労死だ。過労死の労災認定を受けるためには「病気が発症する日の1週間以内に日常の業務に比べて過重な業務が継続していたことが必要である」とされている。しかし、実際には、1週間の過労だけが原因ではなく、長年の疲労が蓄積して病気になるのが普通。となると、たまたま病状が重くなる1週間がヒマだったりしたら労災認定がおりないことになってしまうが、実際にはこの基準にとらわれずに認定がおりているケースも少なくない。だから、ふだんから労働の記録をつけておくことをすすめる。
最近ちょっとキツイなあと思ったら、日記みたいなものでいい。今日は残業で○時から○時までどんな仕事をしたか、だけでもいいからね。
そうすれば、労災だけでなく、会社に損害賠償だって請求できるかもしれないし・・・。とはいっても、死んでしまっては元も子もない。働きすぎにはくれぐれも注意を。
「肩たたき」という言葉をご存知だろうか。ああ、気持ちいいんだよね、最近妙に肩がこってさあ、などと大ボケかましてる場合じゃないぞ!不景気、機械化、定年延長、理由はさまざまだけど、要するに人員整理が必要になった会社で行われている暗黙の退職勧奨だ。会社側にしてみれば、人員整理はしたくても、整理解雇というのはそうそう簡単にできるもんじゃない。そこでさりげなく「キミはもうウチにはいなくていい人物なんだよ」ということを伝えるために、ポンポンと肩をたたき、「いままでご苦労様だったね」と言うのだ!?
使用者は、正当な理由がなければ労働者を解雇することはできない。だから誰かに辞めて欲しければ「正当な理由」を見つけ出すか、さもなくば自発的に退職してくれるよう説得するしか方法がないのだ。この、自発的に辞めてくれるように説得する「工作」を退職勧奨という。
それでは、いけない退職勧奨を2例、紹介しよう。
「自発的に辞めてくれれば依願退職ということで退職金も出る。しかし、これに逆らったら懲戒解雇にするぞ!退職金も出ないし、次の職も見つからないぞ!」と、ありもしない解雇理由をデッチあげて退職を迫る場合。でも、恐れることはない。解雇に相当するような理由がなければいいワケだからね。ハッタリだよハッタリ。・・・しかし、辞めないとクビにするぞ!って脅すのも、なんかヘンだなぁあ。
もうひとつは、著しく半強制的で、かつ執拗な手段で行われる強引な退職勧奨。実際にあった例を挙げると、とある市の教育委員会で、退職勧奨に応じない高校教諭に対して、2ヶ月間に合計11回呼びつけて、短いときで20分、長いときには2時間15分もの間、強引に退職勧奨を行った、という例がある。これはもちろん違法な退職勧奨であるとして慰謝料の支払いが命じられた。
このほかにも「地方に飛ばす」「部下の前でネチネチしかる」「机の引き出しの中にゴミを入れる」「電話を取り次がない」「その人にだけお茶をいれない」など、イヤガラセの手口はいろいろ。でも、これって何かに似てない?そうだよ、イジメだよ、イ・ジ・メ。中学、高校とイジメに耐え抜いてようやく社会人になったらまたイジメに遭うなんて、ヤな世の中だなあ。
それはともかく、退職勧奨というと、これまで中高年が中心だったけど、今後も不況が長引くようだと、若手社員もアブなくなるかもしれない。コワイなあ。